1→急性期の前十字靭帯損傷の徒手検査に関する解説を以下に示します。
1) 前方
前十字靭帯 (ACL) は膝関節の重要な安定構造の一つで、大腿骨と脛骨間の前方への異常な移動を制限する役割を持っています。前十字靭帯が損傷すると、脛骨が大腿骨に対して前方に異常な移動(前方引出し現象)を示すことがあるため、前方偏位は前十字靭帯損傷の徴候の一つです。徒手検査で用いられるラッハマンテストやアンテリアドロー試験などでは、この前方偏位を評価することになります。そのため、選択肢1が正解です。
2) 後方
後十字靭帯 (PCL) は膝の後方に位置し、脛骨が大腿骨に対して後方への異常な移動を制限する役割を持っています。そのため、後十字靭帯損傷の際には後方引出し現象が見られることがありますが、前十字靭帯損傷の特徴ではありません。
3) 側方
膝関節の側方の安定性は主に側副靭帯によって提供されます。内側側副靭帯(MCL)や外側側副靭帯(LCL)の損傷によって、膝関節に側方への異常な動きが見られることがありますが、これは前十字靭帯損傷の直接的な徴候ではないため、関連性は低いです。
4) 回旋
膝関節の回旋運動は、靭帯の他に膝の形態や他の軟骨構造によっても部分的に制御されています。前十字靭帯は膝の回旋制御にも関与していますが、急性期の前十字靭帯損傷の徒手検査では、回旋異常よりも前方への異常な偏位がより重要な徴候となります。
正解の選択肢は、1) 前方です。