第32回国家試験 午後23
55歳の男性。仕事中に突然ろれつが回らなくなり、意識レベルの低下と左半身の脱力を生じ、近医に搬送された。右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、保存的加療が行われた。直接嚥下訓練を開始すべきでない症状はどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 左片麻痺あり - 片麻痺がある患者は、嚥下の際に食物の誤嚥のリスクがあるが、直接嚥下訓練は理学療法や作業療法の一環で行われることがあります。専門家の指導の下、安全策を講じながら訓練することは可能です。
2) 構音障害あり - 構音障害がある患者は発話には問題がありますが、嚥下機能自体に直接影響を及ぼすものではないため、嚥下訓練を開始することは可能です。構音障害の有無は嚥下訓練を開始する上で、直接の妨げにはなりません。
3) 半側空間無視あり - 半側空間無視がある患者も、嚥下に必要な意識や機能を持っていれば、嚥下訓練は可能です。ただし、空間無視が強い場合には、食物が口の一方に溜まったり、誤嚥のリスクが高まるなどの問題が起こり得るため、訓練には注意が必要です。
4) JapanComaScale10 - Japan Coma Scale (JCS) 10は、意識障害の深さを示す尺度であり、10は「刺激に対して局所的に反応する」状態を表します。明確な意識の低下がある患者が嚥下訓練を行うのは危険であり、意識が回復し、安全な嚥下が確認できるまで訓練を行うべきではありません。選択肢4が正解です。