1→尿崩症(Diabetes insipidus)は、尿の濃縮機能障害により、大量の希釈尿(透明で薄い尿)を排泄する疾患です。この病態は、抗利尿ホルモンであるバソプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)の分泌障害あるいは腎臓におけるその作用不足によって生じます。
1) エストロゲンは女性ホルモンの一種で、生殖器や性徴の発達、月経周期の調節などに関与していますが、尿崩症との直接の関係はありません。
2) コルチゾールは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンで、ストレス反応、免疫応答、炎症反応の抑制、糖新生など多岐にわたる生理作用を持っています。しかし、これも尿崩症の直接的な原因とは関係がありません。
3) テストステロンは男性ホルモンの一種で、男性の生殖器の発達、二次性徴の発現、性欲や筋肉量の増加などに関わるホルモンですが、尿崩症の発症とは無関係です。
4) バソプレッシンは脳下垂体後葉から分泌されるホルモンで、腎臓の集合管の水の再吸収を促すことで体内の水分バランスを調整する重要な役割を果たしています。バソプレッシンの分泌不足または作用不足が、尿崩症の中心となる病態であるため、選択肢4が正解です。