1→1) 正解:上位型麻痺ではウエイターズチップポジションがみられる。
解説:外傷性腕神経叢麻痺は交通事故等による鎖骨上部の外傷や分娩時の合併症などにより起こることがある。上位型麻痺(エルブ麻痺)では、腕神経叢の上部トランク(C5、C6)が影響を受け、肩甲上筋、荻窪筋、上腕二頭筋などの筋力低下が生じ、その結果、肩関節の外転や上腕の伸展、前腕の屈曲が困難になる。提示されたウエイターズチップポジション(ウェイターチップポジション)は、この上位型麻痺の特徴的な姿勢で、患者が手のひらを上向きに保持することが困難になる姿勢を指します。
2) 誤り:下位型では橈骨神経、筋皮神経が傷害される。
解説:下位型麻痺(クルーパン麻痺)では、腕神経叢の下部トランク(C8、T1)が影響を受けます。ここから出る神経は、橈骨神経ではなく、主に尺骨神経と手の内側を支配する神経(内側神経コードから派生)である。このため、下位型麻痺では小指と薬指が主に影響を受け、Klumpke(クルンプケ)麻痺とも呼ばれる手の筋肉の麻痺が特徴です。
3) 誤り:節後損傷は全型で多くみられる。
解説:腕神経叢損傷には、神経根が脊髄から直接引き裂かれる節前損傷と、脊髄からの神経根は intactだが、それから先の腕神経叢が損傷される節後損傷があります。節後損傷は予後が比較的よく、「全型」ではなく「上位型」や「下位型」に分類される麻痺にもみられますが、「上位型」など特定のタイプに限定されるわけではありません。また、「全型」は腕神経叢全体が損傷を受けるため、節前損傷と節後損傷のいずれも含まれうるが、節後損傷が特に多いとは限りません。
4) 誤り:節前損傷は予後良好である。
解説:節前損傷は実際には予後が非常に悪いとされます。これは神経根が脊髄から直接引き裂かれるため、自然治癒が困難であり、外科的介入による再建が必要となる頻度が高いためです。神経移植などの外科的治療が実施される場合でも、全面的な回復が期待できるわけではなく、機能の回復には長期間を要することが一般的です。