第32回国家試験 午後113
35歳の男性。板前をしている。約1か月前、調理中に右前腕近位橈側に違和感を自覚し、その後に指が動きにくくなったとのことで来所した。第2~5MP関節の伸展が不能であった。感覚障害はみられない。他に考えられる症状はどれか。
正解!
不正解 答え 1
1→選択肢1: 母指橈側外転不能
この症状は、手根管症候群やその他の手関節の障害ではなく、橈骨神経の障害を示唆しています。橈骨神経は前腕および手の一部の筋肉の感覚と運動機能を支配しており、特に母指(親指)の橈側外転を支配する筋肉に影響を与える可能性があります。この症例では、第2~5MP関節の伸展が不能であり、これは橈骨神経の深枝が支配している指伸筋障害を示しているため、母指橈側外転不能も併発する可能性が高いです。したがって、選択肢1が正解です。
選択肢2: フローマン徴候陽性
フローマン徴候は前腕の浅指屈筋(flexor digitorum superficialis)や深指屈筋(flexor digitorum profundus)の障害を示唆する徴候です。これらの筋肉は尺骨神経と正中神経によって支配されており、このケースでは橈骨神経に問題があると考えられるため、フローマン徴候の陽性は期待されないため、選択肢2は不適切です。
選択肢3: つまみ動作不能
つまみ動作は通常、対立筋(特に親指の付け根を動かす筋肉)と母指と他の指との協調によって行われます。橈骨神経障害の場合、特に深枝が影響を受けている場合、指伸筋が障害を受けるので、つまみ動作自体が不可能になることは少ない。対立筋の動きは主に正中神経によって支配されるため、この症例のような橈骨神経障害によりつまみ動作が直接不能になることは少なく、選択肢3は最も適していないです。
選択肢4: ティアドロップサイン陽性
ティアドロップサインは関節や靭帯損傷を指摘する徴候であり、特に肩関節の問題に関連することが一般的です。手の筋肉や神経の障害とは無関係であるため、この症例には関連がなく、選択肢4は不適切です。