1→下垂体に関する誤った選択肢を解説するにあたって、下垂体の構造と位置関係について説明します。
1) 間脳の上後部に位置する。
この選択肢は誤りです。実際には、下垂体は間脳の下部、つまり壁側下部に位置しています。正確には、脳の底面に位置する鞍状突起(トルコ鞍)と呼ばれるくぼみに納まっています。従って、下垂体は間脳の「下前部」に位置すると考えるのが正しいです。選択肢1が正解です。
2) 下垂体門脈がある。
この選択肢は正しいです。下垂体には実際に特有の門脈系が存在します。これは、視床下部から分泌される放出ホルモンや抑制ホルモンが下垂体前葉に輸送され、そこで影響を及ぼすための仕組みです。そのため、下垂体門脈系は視床下部と下垂体前葉を結ぶ重要な血管系です。
3) 前葉は腺組織からなる。
この選択肢も正しいです。下垂体の前葉(腺下垂体)は腺組織であり、様々なホルモンを分泌します。これらのホルモンには成長ホルモン(GH)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)などがあり、身体の成長や代謝に影響を与える重要な役割を持っています。
4) 後葉は神経組織からなる。
この選択肢も正しいです。下垂体の後葉(神経下垂体)は神経組織から構成されています。ここは視床下部からの神経繊維が集まり、オキシトシンやバソプレシン(抗利尿ホルモン)といったホルモンを血流へ放出します。これらのホルモンはそれぞれ、出産時の子宮収縮や尿量の調節などに関与します。