第30回国家試験 午後44
35歳の男性。7月の日曜日に会社の野球チームの練習に参加していた。当日は晴天で気温32℃、湿度80%であった。
守備中に頭痛と倦怠感を訴えて倒れ、救護室に運ばれた。意識はあるが、体は熱く、多量の発汗を認めた。
正しい対応はどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 酸素吸入を行う。
選択肢1は、状況によって必要になることもありますが、この場合の主な問題は熱中症による体温の上昇と脱水です。酸素吸入だけでは症状の改善に直接的な効果は期待できません。応急処置としては優先度が低くなります。
2) 身体を毛布で温める。
選択肢2は不適切な対応です。この患者は熱中症の状態で体温が高くなっており、身体を温めることは有害です。体温を下げるためには冷却が必要です。
3) ブドウ糖を補給する。
選択肢3に関しては、熱中症や脱水症状で意識がある場合には、体力の回復に役立つこともありますが、これが最優先で行うべき処置ではありません。まずは体温を下げて脱水状態を改善することが必要です。
4) ナトリウムを含んだ水分を補給する。
選択肢4が正解です。高温多湿の環境でスポーツを行っていたこと、そして、多量の発汗を認めることから、この患者は熱中症による脱水症状を起こしています。ナトリウムを含んだ水分補給は、失われた電解質のバランスを整えつつ、脱水を解消する効果的な方法です。また、適切な体温管理とともに、熱中症からの回復には水分と電解質の補給が極めて重要な処置となります。