第30回国家試験 午後103
80歳の女性。玄関で転倒し手を衝き左手首が変形したため来所した。
別に外観写真(別冊No.3 a、b)と手関節背側より長軸方向を観察した超音波画像(別冊No.3c)を示す。
施術する際の注意点で誤っているのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→1) 全身状態を確認する。
解説: 患者様が高齢であるため、手首のケガに関わらず全身状態の確認は重要です。心臓、肺、神経系の機能状態など、他の潜在的な問題がないか評価することが治療の安全性を確保する上で必要です。この選択肢は適切なアプローチを示しています。
2) 解剖学的治癒を主眼に置く。
解説: この選択肢は誤りです。解剖学的治癒は骨折や軟部組織損傷が正常な解剖位置に戻ることを目指しますが、高齢者ではこのアプローチのみに囚われずに、機能的治癒や患者様の生活の質 (QOL) の維持、向上も考慮することが大切です。特に高齢の患者様では、固定期間が長すぎると筋力の低下や関節の拘縮が起こりやすいです。したがって、解剖学的治癒のみを主眼に置くのではなく、リハビリテーションや生活機能の回復にも注力するのが望ましいです。選択肢2が正解です。
3) 尺骨茎状突起骨折の合併を疑う。
解説: 別冊で提供された情報を考慮すると、手首の転倒によるケガでは尺骨茎状突起の骨折がよく見られます。この合併症は重要な神経や血管の損傷に繋がり得るため、注意深く評価されるべきです。したがって、尺骨茎状突起骨折の合併を疑うという選択肢は適切な考慮です。
4) 固定部以外の自動運動を早期より行う。
解説: 骨折や重度の損傷後は、固定部以外の範囲で早期より自動運動を行い、筋力の低下や関節の拘縮を防ぐことが重要です。特に高齢者の患者様の場合、関節や筋組織の動きを早期に取り戻すことで、全体的な回復につながることが多いです。この選択肢は、治療の際の適切な介入を示しています。