1→1) 回内筋症候群
回内筋症候群は前腕の回内筋が関連するトラブルであり、この筋肉が緊張したり炎症を起こすことで症状が現れます。しかし、ここで問題としている主訴は、母指の自動運動と関連しており、回内筋症候群の症状とは直接結びつかないため、この症状に基づいて回内筋症候群を考えるのは適切ではありません。
2) 狭窄性腱炎
狭窄性腱炎は、テニス肘などと呼ばれることもありますが、特に腱が出入りするトンネルが狭くなり腱に炎症が起こる状態を指します。この症状では握力低下や握ったときの痛みなどがありますが、母指の自動運動との直接的な関連が少ないため、このシナリオにおいて最も可能性が高いとは言えません。
3) 腱交叉症候群
腱交叉症候群は、主に母指の伸筋である長母指伸筋(extensor pollicis longus, EPL)と短母指伸筋(extensor pollicis brevis, EPB)が横切る際に起こる炎症やトラブルのことを指します。特にド・クエルヴェン病としてその症状が知られています。母指の自動運動に痛みが増強する点、前腕外側に腫脹と圧痛が生じた点から、このシナリオでは腱交叉症候群が最も考えられる状態です。従って、選択肢3が正解です。
4) 三角線維軟骨複合体損傷
三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷は、手首の尺側部に痛みが生じる状態を指します。TFCCは手首の安定化に関わる重要な構造ですが、この症例のように母指の運動に関連して痛みが増強する症状はTFCC損傷とは一般的には結びつかないため、この選択肢は正解ではありません。