1→まず上腕二頭筋長頭腱の断裂についての一般的な解説をします。この断裂は肩の部分にある上腕二頭筋の長頭腱が切れることを指します。この腱は肩の関節の中を通っており、肩の上部外側の骨である大結節の溝に沿って走行しています。上腕二頭筋の主な機能は肘の屈曲と前腕の回外です。
1) 腱の変性で発生頻度は高くなる。
この選択肢は正しいです。加齢や繰り返しのストレスにより腱が変性し、少ない外力で断裂することがあります。特に中高年での発生が多いとされています。
2) 外旋運動で発生する。
この選択肢はやや誤解を招く可能性がありますが、理論的には外旋運動自体が直接原因であるとは限りません。断裂はしばしば抵抗を伴う力強い肘の屈曲動作時や肘を伸ばした状態での急な収縮時に起こりやすいです。ただし、肩関節の動きとしては外旋を伴う動作の際に腱がストレスを受けることはあります。
3) 大結節との摩擦が関与する。
選択肢3が正解です。上腕二頭筋長頭腱は大結節の溝を通っていないため、大結節と直接的に摩擦を起こして断裂することはありません。腱の断裂は通常、腱自体の変性、外傷、または突然の過度な負荷に起因しますが、大結節との摩擦は腱断裂の直接的な原因にはなりません。
4) 筋腹の膨隆が遠位に移動する。
この選択肢は正しいです。上腕二頭筋長頭腱が断裂すると、筋肉は固定されていないために重力に引かれて下方(遠位)に移動し、ポパイ現象と呼ばれる筋腹の膨隆が目立つようになります。これは筋肉が短縮し、プロミネントな外観を呈するためです。