1→選択肢1: 妊娠
妊娠では、子宮の大きくなることにより骨盤内の静脈が圧迫され、下半身への血流が阻害されることがあります。これによって下肢の静脈拡張が起こることがあります。しかし、視診で見られる静脈拡張が、特に肝臓の問題によるものかどうかを区別することは困難です。したがって、妊娠だけで特定の静脈拡張を示す証拠ではありません。
選択肢2: 肝硬変
正解です。肝硬変では、肝臓の硬化により静脈の流れが妨げられることが多いです。この結果、肝臓に戻る血液が正常に流れなくなり、代替の経路を見つけるために静脈が拡張することがあります。この状況は「門脈圧亢進症」として知られており、特に腹部で顕著な静脈の拡張(蜘蛛状静脈、毛細血管拡張)が視診できることがあります。
選択肢3: 慢性膵炎
慢性膵炎は膵臓の長期的な炎症であり、膵臓の機能障害を引き起こすことがあります。しかし、慢性膵炎そのものが静脈拡張の直接的な原因とはなりにくいです。膵臓の問題が門脈系へ影響を及ぼし、静脈拡張を引き起こすケースは比較的まれであり、一般的な静脈拡張の原因とは見なされていません。
選択肢4: Cushing(クッシング)症候群
クッシング症候群は、体内のコルチゾールの濃度が高い状態であり、さまざまな症状を呈しますが、静脈拡張は主な症状ではありません。クッシング症候群の特徴としては、体重増加、丸い顔(月面様貌)、高血圧、紫色の線条(ストライ)、糖尿病の発症リスクの増加などが挙げられますが、視診で明白な静脈拡張を示す典型的な症状ではないため、この選択肢は不正解です。