第32回国家試験 午後45
66歳の男性。3か月前から四肢脱力を生じ、階段昇降や座位から立ち上がることが困難となった。手指関節伸側に落屑を伴う紅斑を認める。血液検査で筋原性酵素の上昇と炎症反応の陽性がみられた。この患者で注意すべき合併症はどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→1) 貧血
この症例で示された症状(四肢の脱力や階段昇降時、座位からの立ち上がり困難)は、貧血によっても引き起こされる場合があります。しかし、手指関節伸側に落屑を伴う紅斑が見られることや、筋原性酵素の上昇と炎症反応の存在は、貧血よりも特定の筋疾患を示唆しています。従って、貧血が直接の合併症とは考えにくいため、注意すべき合併症の選択肢としては適切ではありません。
2) 悪性腫瘍
筋疾患のなかには、特に成人において、全身性の筋力低下と炎症性の皮膚症状を伴いながら、悪性腫瘍(がん)に関連して発症するものがあります。これは「関連性筋炎」と呼ばれることがあります。この病態では、筋疾患の診断を受けた後に、体の別の場所に悪性腫瘍が発見されるケースが報告されています。そのため、悪性腫瘍に注意する必要があるという選択肢2が正解です。
3) 前立腺肥大
前立腺肥大は、主に年配の男性に見られる疾患で、排尿障害などの症状が特徴的です。しかし、前立腺肥大が直接的に四肢の脱力や筋肉酵素上昇、皮膚の症状を引き起こすとは考えにくく、直接的に考慮すべき合併症ではありません。
4) 甲状腺機能亢進
甲状腺機能亢進(甲状腺機能亢進症)は、高い代謝状態を引き起こし、体重減少、手のふるえ、心拍数の増加、疲労などさまざまな症状が見られることがあります。しかし、今回の患者様の症状は筋力低下が中心であり、甲状腺機能亢進によるものと解釈するには合致しないため、関連する合併症とは考えにくいです。