1→ベネット骨折に関する解説です。
1) T字状の骨片骨折をいう。
ベネット骨折は、手根大菱形骨(トラペジウム)と関節を形成する第1中手骨底部の骨折であり、T字状の骨片骨折ではありません。この選択肢は誤りです。
2) 固定保持は容易である。
ベネット骨折は単純な骨折ではなく、関節面に沿った斜めの骨折が特徴で、固定保持が困難な場合があります。したがって、この選択肢も誤りです。
3) 母指は内転屈曲位となる。
母指のベネット骨折では、主な転位力として第1中手骨底部の小骨片が手首に固定されているのに対して、大きな骨片が長母指外転筋の働きにより背側および外側方向へと引かれます。これによって母指は内転屈曲位に変形しやすいため、この選択肢が正解です。
4) 近位骨片は長母指外転筋によって転位する。
ベネット骨折では、近位骨片は安定していませんが、転位するのは遠位にある大きな骨片です。この骨片は長母指外転筋の引っ張りによって転位するため、この選択肢の表記は誤りです。
したがって、選択肢3が正解です。