第32回国家試験 午後103
60歳の女性。自宅の庭で転倒し受傷した。医科にて橈骨遠位端骨折と診断され固定を行った。固定除去後、手部に疼痛、腫脹、熱感が生じてきた。考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 骨化性筋炎 - 骨化性筋炎は、特に上肢や下肢の大きな筋肉に発生することが多い疾患で、筋肉組織内に骨が形成されることが特徴です。外傷後や手術を受けた後に発症することがありますが、手部に疼痛、腫脹、熱感が主症状として出現することは比較的まれです。
2) 阻血性壊死 - これは組織に血液が供給されなくなり、組織が壊死する状態を指します。橈骨遠位端骨折の固定中に圧迫や血管の損傷により発生する可能性はありますが、固定除去後に急に症状が出現するという点では一致しません。
3) 脂肪塞栓症候群 - 脂肪塞栓症候群は、骨折などの外傷により脂肪の粒子が血流に入り込み、肺や脳、皮膚などの血管を塞ぐことによって起こります。呼吸障害や神経系の症状、皮疹などが主な症状ですが、局所的な手部の症状だけでは診断されにくいです。
4) 複合性局所性疼痛症候群 - この疾患は、外傷や手術などの後に限局した部位に強い疼痛、腫脹、肌色変化、温度変化、そして機能障害が見られる症候群です。症状はしばしば四肢に出現し、橈骨遠位端骨折の固定除去後に手部に発生する症状としてはより一致しています。
選択肢4が正解です。複合性局所性疼痛症候群は、この症例の患者さんが示している症状、すなわち手部における疼痛、腫脹、熱感といった症状と一致しています。骨折の後などの身体的外傷に続いて発症することが特徴であり、治療が適切に行われないと慢性化して手の機能障害を引き起こすこともあります。