第32回国家試験 午後104
67歳の男性。転倒して縁石に前胸部を強打し、強い痛みを自覚した。来所持、背中を丸めるような姿勢をとり、ゆっくりとした腹式呼吸で、前胸部中央に著名な皮下出血と腫脹がみられた。合併症で考えられないのはどれか。
正解!
不正解 答え 3
1→1) 血胸
血胸は胸部への外傷により胸腔内に血液が溢れる状態を指します。この患者の場合、強い打撲を受けたことにより胸部への直接的な影響として血胸の発生が考えられます。腫脹や皮下出血もその症状を示唆しています。
2) 肋骨骨折
転倒による外傷で縁石に前胸部を強打した場面は肋骨骨折を疑わせる臨床的状況です。前胸部における皮下出血や腫脹も、骨折による可能性があるため、肋骨骨折は合併症として考えられます。
3) 第10胸椎神経根障害
第10胸椎神経根障害は胸椎の特定の部位における神経根の障害を指しますが、この症例の患者は前胸部の外傷による症状が主であり、特定の胸椎神経根への直接的な損傷を示唆する情報はありません。したがって、第10胸椎神経根障害は合併症で考えられないため、選択肢3が正解です。
4) 縦郭臓器の損傷
縦郭臓器の損傷は胸部外傷に際して考慮すべき深刻な合併症です。心臓や大血管など、胸部の中心に位置する重要臓器が損傷を受けることがあります。患者が背中を丸めながら腹式呼吸をしている様子は、縦郭の臓器への影響を示唆している可能性があり、また皮下出血や腫脹も内部臓器の損傷を示唆しています。