第32回国家試験 午後105
53歳の女性。1週前、自宅で転倒し右腰部に痛みを自覚した。所見時、棘突起の疼痛は軽度で、下肢伸展挙上テストは陰性であった。挙動動作および左側屈で疼痛が誘発された。考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→1) 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、腰部の脊柱管が病的に狭くなることで神経を圧迫し、下肢の痛み、しびれ、歩行障害などを引き起こします。下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)で陽性となることもありますが、このケースではSLRテストが陰性であったため、腰部脊柱管狭窄症の可能性は低いです。
2) 腰椎肋骨突起骨折
腰椎肋骨突起骨折は通常、直接的な外傷や強い圧迫により発生し、局所的な疼痛や触診時の圧痛が特徴です。このケースでは患者が転倒後に痛みを自覚しており、挙動動作や側屈によって疼痛が誘発されたとありますので、肋骨突起の骨折による疼痛が考えられます。したがって、選択肢2が正解です。
3) 腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中心部である髄核が外側へ飛び出し、神経根を圧迫することで下肢に放散痛やしびれを引き起こす疾患です。SLRテストで陽性になることが多いですが、このケースではSLRテストが陰性であるため、ヘルニアの可能性は低いと言えます。
4) 胸腰椎移行部圧迫骨折
胸腰椎の移行部に圧迫骨折が起きると、局所的な疼痛や障害が発生します。特に高齢者では骨粗しょう症により圧迫骨折が起こりやすいですが、このケースでは具体的に胸腰椎移行部の圧迫骨折を示唆する情報はありません。また、骨折が生じればSLRテストで痛みが出る可能性がありますが、テストは陰性でした。