第32回国家試験 午後112
28歳の男性。機械の組み立て工。仕事中に特定の動作で肘関節がカクッとずれるような感じがあり、力が入らないという。小学生の低学年時に肘の骨折の既往があり、運搬角は-10度である。前腕回外位で手掌から軸圧をかけて肘関節を外反すると、橈骨頭の後外方への亜脱臼がみられた。亜脱臼の原因はどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 輪状靱帯の亜脱臼
これは不正解です。輪状靱帯は橈骨頭を環状に取り囲む靱帯であり、橈骨頭に対する亜脱臼とは異なる状態です。肘の前腕回外位で亜脱臼が見られるのは、輪状靱帯そのものではなく、その靱帯が機能しているかどうかに依存します。
2) 外側側副靱帯の緊張
これも不正解です。外側側副靱帯が緊張している場合、肘関節が安定化し、亜脱臼が抑止されるはずです。亜脱臼に寄与するのは逆に靱帯の緩みや損傷です。外側側副靱帯が緊張していれば、実際には肘関節の亜脱臼が起きにくくなります。
3) 内側側副靱帯の弛緩
これも不正解です。内側側副靱帯の弛緩は、肘関節の内側の安定性に影響しますが、今回の症例では橈骨頭の後外方への亜脱臼が見られるため、この選択肢は関連が低いです。亜脱臼の方向が内側ではなく後外方であることを考えると、内側側副靱帯の問題ではないと考えられます。
4) 外側尺側側副靱帯の弛緩
選択肢4が正解です。外側尺側側副靱帯は、肘関節の外側の安定性を提供する重要な靱帯であり、小児期の骨折などによる影響で弛緩が起こると、外側・特に橈骨頭の後外方への亜脱臼が起こり得ます。この例で述べられている症状と橈骨頭の亜脱臼の見られ方は、外側尺側側副靱帯の弛緩と一致しており、最も適した答えとなります。