第31回国家試験 午後45
76歳の男性。1年前から、直前の食事の内容が思い出せないことや物をよく失くしてしまうこと、慣れてない道で迷ってしまうようになったことを家族から指摘されている。物取られ妄想もみられた。
この患者でみられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→この問題は、76歳の男性の記憶に関する問題点や行動特徴を考慮して、どの選択肢が最も適しているかを判断するものです。ここでは、痴呆症候群の可能性がある様子が描かれています。
解説:
選択肢1:動作が緩慢で転倒しやすい。
この選択肢はパーキンソン病や他の神経変性疾患に見られる症状に関連していますが、患者の症状説明にはこれに該当する記述がありません。
選択肢2:他人に対して遠慮ができず暴力を振るう。
この選択肢はフロントテンポラル認知症における行動変化や社会的不適切行動に関連する可能性がありますが、本症例ではそのような振る舞いの記述は見られません。
選択肢3:自分の部屋に黒い服を着た人が立って、じっと自分を見ていると訴える。
幻視や妄想を伴うことはレビー小体型認知症や他の精神疾患で見られる可能性がありますが、問題文には具体的な幻視の記述がなく、この選択肢は適切ではありません。
選択肢4:質問に答えるときに、一緒にいる家族のほうをその都度振り返って確認する。
この選択肢は、認知機能の低下により自信が持てなくなり、他者(特に身近な家族)への依存や確認行動が見られる状態を示しています。問題文中の患者さんが直前の食事の内容が思い出せない、物を失くす、慣れない道で迷うといった記憶障害があり、物取られ妄想も見られることから、認知症の症状と合致します。
したがって、選択肢4がこの症例において最も適切な答えです。患者さんは認知症による記憶障害や判断力の低下があり、日常生活において家族への依存が高まっています。