第31回柔道整復師国家試験 午後75

1→選択肢1: 関節軟骨の栄養障害 関節を長期間固定すると、関節軟骨が適切な栄養を受け取れなくなることがあります。関節軟骨は、正常な運動と圧力の変動によって関節液から栄養を得ています。動きがなくなると、この栄養交換が阻害され、軟骨の劣化や損傷が進行する可能性があります。これにより、関節の機能障害や痛みが発生することがあります。 選択肢2: 深部腱反射の亢進 深部腱反射の亢進は、関節の固定とは直接関連がありません。これは通常、神経系の障害や異常によって引き起こされる現象で、特に中枢神経系の損傷が関与しています。関節の固定が原因でこの症状が現れることは少ないです。 選択肢3: 筋の阻血性拘縮 筋の阻血性拘縮は、筋組織への血流が長時間にわたって阻害されたときに起こりますが、これは一般に急性の事象であり、関節の固定によって直接引き起こされるわけではありません。筋肉が適切な血流を欠いた状態で継続的に圧迫される場面で考えられる状態です。 選択肢4: 靭帯の弛緩 関節を長期間固定した場合、関節周囲の靭帯が弱まることがありますが、これは靭帯が伸びることよりも、むしろ使用不足による筋力の低下や関節の硬直に関連することが多いです。靭帯自体の弛緩よりも、関節の可動域が制限され、機能障害が発生するリスクの方が一般的です。 以上の解説から、関節を長期間固定することによって最も注意すべき合併症は「関節軟骨の栄養障害」であることが分かります。この状態は、関節機能の低下や慢性的な痛みにつながる可能性があるため、固定期間の適切な管理とリハビリテーションが非常に重要です。