第31回国家試験 午後109
75歳の女性。食事中に顎が閉まらなくなり来所した。半開口のままで、口の開閉はわずかに可能である。オトガイ部は左側に偏位している。患側の耳孔前方に陥凹を触知する。 考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 3
1→問題の選択肢2「肘部管症候群ーー肘屈曲テスト」が正しい理由を解説します。
肘部管症候群(cubital tunnel syndrome)は、肘の内側を通る尺骨神経が肘部管と呼ばれる狭い領域で圧迫されることによって引き起こされる状態です。この神経障害は、手や指の感覚異常、特に小指と薬指に痺れや痛みを感じることが特徴です。
肘屈曲テストは、尺骨神経の圧迫を診断するためのテストで、患者に肘を最大限に屈曲させた状態で数分間保持してもらい、症状の出現を観察します。このテストにより、肘を曲げることで尺骨神経にかかる圧が増し、症状が誘発されれば肘部管症候群の可能性が高まります。
他の選択肢についての説明として、以下の通りです。
選択肢1:リュックサック麻痺ーースパーリングテスト
リュックサック麻痺は、長時間リュックサックのストラップによる圧迫で肩甲上神経が圧迫されることにより起こる肩の神経障害です。スパーリングテスト(Spurling's test)は、首の神経根圧迫を調べるためのテストで、この状態とは関連がありません。
選択肢3:後骨間神経麻痺ーーティアドロップサイン
後骨間神経麻痺は、手の筋肉の一部が麻痺することによって引き起こされます。ティアドロップサインは別の病状に関連する徴候であり、後骨間神経麻痺とは直接関連がありません。
選択肢4:手根管症候群ーーフローマンサイン
手根管症候群は手首の手根管内で正中神経が圧迫される症状です。フローマンサイン(Froment's sign)は、尺骨神経損傷を評価するテストであり、手根管症候群の診断には通常使用されません。
以上の説明から、選択肢2が正しい組み合わせであることが理解できます。