第31回国家試験 午後110
41歳の男性。ランニング中、段差につまずいて右手掌を衝き、前腕を回内強制された。右肘関節前外側に疼痛、腫脹、変形がみられる。また、感覚障害はみられなかったが、運動障害はみられた。肘関節側面の単純エックス線写真を別に示す。
この場合の運動障害はどれか。
正解!
不正解 答え 3
1→「3.MP関節伸展」となります。以下、その解説を示します。
選択肢1:手関節背屈
手関節の背屈は、手首を後ろ向きに曲げる動作です。前腕の怪我が手関節背屈の障害に直結することは少なく、特に前腕を回内させた際に影響を受ける主な動作ではありません。したがって、本症例における主な運動障害とは考えにくいです。
選択肢2:手関節掌屈
手関節掌屈は、手首を掌側に曲げる動作です。この動作も、前腕の怪我とは直接的な関連が少ないため、症例の運動障害の原因としては考えにくいです。
選択肢3:MP関節伸展
MP関節伸展は、指の中節関節を伸ばす動作です。肘関節の怪我、特に肘関節の前外側部分での損傷は、この動作に影響を与える可能性があります。肘関節の怪我が前腕の神経、特に橈骨神経や尺骨神経に影響を及ぼす場合、それらの神経が支配する筋肉が正常に機能しないため、MP関節の伸展障害が生じることがあります。
選択肢4:MP関節屈曲
MP関節屈曲は、指の中節関節を曲げる動作です。この動作も、肘の損傷によって影響を受けることはありますが、症例の詳細と直接的な関連性は低いと考えられます。
総じて、本症例において報告された「ランニング中の段差につまずき、前腕を回内強制された後の運動障害」は、MP関節伸展の障害が最も適合します。この症状は、肘関節の怪我に伴う神経の影響により説明される可能性が高く、運動障害の中でも特にMP関節の伸展が影響を受けると考えられます。