第31回国家試験 午後114
25歳の男性。右下肢痛を訴えて来所した。下腿外側から足背にかけて感覚異常があり、長母趾伸筋の筋力低下がみられた。股関節内転・内旋で症状が増悪した。 考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→「2.梨状筋症候群」となります。以下、その解説を示します。
選択肢1:腰椎分離症
腰椎分離症は腰椎の安定性に影響を与える骨の異常であり、腰痛や下肢痛を引き起こすことがありますが、感覚異常や特定の筋力低下を直接的に引き起こす症状は一般的ではありません。また、股関節内転・内旋での症状増悪は、この状態には典型的ではないため、本症例には合致しません。
選択肢2:梨状筋症候群
梨状筋症候群は、梨状筋が坐骨神経を圧迫することによって引き起こされる症候群です。下腿外側から足背にかけての感覚異常と長母趾伸筋の筋力低下は、坐骨神経が影響を受けていることを示しており、股関節の内転や内旋で症状が増悪するのも、梨状筋による追加的な圧迫が起こるためです。この症状の組み合わせは梨状筋症候群に非常に典型的です。
選択肢3:腰部脊柱管症候群
腰部脊柱管症候群は、脊柱管が狭窄し神経根が圧迫されることで症状が現れますが、主に腰部から下肢にかけての放散痛や感覚異常を伴います。しかし、筋力低下の局所性や股関節動作による症状の増悪という点では、本症例の症状とは異なります。
選択肢4:腰部椎間板ヘルニア
腰部椎間板ヘルニアは、椎間板が突出し神経根を圧迫することによって下肢痛や感覚異常を引き起こしますが、股関節動作による症状の増悪は一般的ではありません。この症状は通常、体の前屈や姿勢変化で影響を受けることが多いです。
このように、25歳男性の症状として報告された下腿外側から足背にかけての感覚異常と長母趾伸筋の筋力低下、股関節の特定の動作での症状増悪は、梨状筋症候群の特徴的な表現であり、選択肢2が正解となります。梨状筋症候群の診断にはこれらの臨床症状の確認が重要で、適切な治療を行うことで改善が期待できます。