第31回国家試験 午後116
65歳の女性。1か月前、自宅の整理をしていて崩れそうになった重い荷物を支えようとしたとき、右上肢痛を自覚した。約1週で疼痛が軽減し、上肢もあまり不自由なく使えるようになったので放置していたが、肘屈曲時に上腕部の腫れが目立ってきたので来所した。右上腕前面に握りこぶし大の軟部腫瘤を触知する。
誤っているのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→選択肢1:腱の変性が背景にある。
この症例において腱の変性が背景にある可能性は十分に考えられます。重い荷物を支える動作は、特に回旋筋腱板などの腱にストレスをかけ、変性や部分的な断裂を引き起こすことがあります。この状況は腱の変性に関連している可能性が高く、選択肢1は正しいと考えられます。
選択肢2:最大筋力は正常である。
重い物を持ち上げた際の怪我やそれに続く症状が改善されたとしても、腱の損傷がある場合、筋力の完全な回復は困難であることが多いです。特に、怪我の後に腫れが目立つようになったとのことから、最大筋力が正常であるとは限らないため、この選択肢は誤りである可能性が高いです。
選択肢3:保存療法が第一選択である。
腫瘤の性質や原因にもよりますが、非外傷性かつ急性の症状ではない場合、まずは保存的治療(安静、冷却、圧迫、挙上など)が選択されることが一般的です。この選択肢は、診断後の治療方針として妥当であるため、正しいと考えられます。
選択肢4:超音波観察が有用である。
超音波は軟部組織の評価に非常に有効であり、特に腱の損傷や腫瘤の性質を調べるのに役立ちます。この症例のように腫瘤が確認された場合、超音波による観察は診断に大いに役立つため、この選択肢は正しいです。
したがって、問題の文脈に照らして誤りであると指摘された「2.最大筋力は正常である」が適切ではない理由として、最大筋力が正常であるとの記述は、右上腕に腫瘤が発生し、その結果として腫れや機能障害が見られる状況では通常見られないものです。腫瘤が腱や筋肉に関わる損傷に由来する場合、それに伴い筋力の低下や機能障害が生じることが多いため、この選択肢は事実と一致しないと考えられます。