第31回国家試験 午後67
76歳の女性。駐車場で転倒し右手を衝いて受傷した。受傷時の単純エックス線写真を別に示す。
ギプスによる固定を行ったが、ギプス除去後に注意すべき所見はどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 弾発指:
弾発指(トリガーフィンガー)は、指の屈筋腱が肥厚したり、腱鞘が狭窄したりすることによって、指の屈曲または伸展時に「引っかかり」を感じる症状です。この症状は腱鞘炎や長期間の固定、リウマチなどによって引き起こされることがありますが、手首の骨折や固定後に特に起こりやすいわけではありません。
2) 母指の屈曲障害:
母指の屈曲障害は、親指を曲げる際に制限があるか、痛みを伴う症状を指します。これは母指の関節や腱に問題があるときに見られますが、手首の固定の直接的な結果ではないことが一般的です。
3) スワンネック変形:
スワンネック変形は、指の中節指節(PIP)関節が伸展し、末節指節(DIP)関節が屈曲する変形を指します。この変形はリウマチ性関節炎などの炎症性関節疾患に関連していることが多く、単なる手首の外傷後には通常は起こりません。
4) 手関節尺側の疼痛:
手首の尺側(小指側)の疼痛は、転倒時に手首に衝撃が加わった際に手首の骨折、特に尺骨(手首の小指側の骨)やその周辺の骨折によって生じる痛みです。ギプス固定後は、固定による不動化の影響で関節の可動域が制限されたり、固定の解除後に炎症や疼痛が残ることがあります。これは、特に高齢者において骨密度の低下や骨折治療後の合併症として注意が必要とされるため、選択肢4が正解です。