1→足関節の前距腓靭帯(anterior talofibular ligament, ATFL)損傷の診断に用いられる前方引き出し検査では、正確な検査手技に従う必要があります。
1) 足背を把持する。
これは不正解です。前方引き出し検査を行う際には足背を把持するのではなく、かかと部分を持ちます。患者の膝関節を90度の屈曲位にし、一方の手で下腿部を安定させながら、もう一方の手でかかとを把持し前方に引き出す動作を行います。
2) 膝関節を伸展位とする。
これも不正解です。前方引き出し検査は膝関節が90度の屈曲位にある状態で実施されます。膝関節を伸展位にすると、検査の精度が落ち、診断が困難になる可能性があります。
3) 足関節背屈位で行う。
これは不正解です。足関節背屈位ではなく、軽度の底屈位(下に向かって曲がっている状態)で検査を行います。これにより足関節を安定させる靭帯の緩みが生じ、前距腓靭帯に起因する不安定性を検出しやすくなります。
4) 距骨に内旋を加える。
選択肢4が正解です。距骨に内旋を加えることで、前距腓靭帯にストレスをかけることができます。前足部を内旋させると、特定の靭帯の張りを高めてその靭帯の完全性をチェックすることができるからです。前方引き出し検査においては、足関節の前方への移動を評価することで、損傷の有無を判断します。