第30回国家試験 午後107
32歳の女性。百日咳のため咳が数週間続いている。激しい咳をしたとき右側胸部に激痛を自覚した。患部に腫脹はないが右第7肋骨に限局性圧痛がみられた。他に考えられる症状はどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 軋轢音:
軋轢音は関節や運動器に病変がある場合に聞かれる音です。今回の事例では右側胸部の激しい咳による痛みに関する症状であり、関節や関節周囲の病変を示す軋轢音とは関係がありません。従って、この症例において軋轢音は考えにくいです。
2) 屈曲変形:
屈曲変形は関節の損傷や疾患によって関節が正常な位置から曲がった状態を指します。今回患者さんが経験しているのは咳によって起こった急な胸部の痛みであり、関節の持続的な変形とは無関係です。ですので、屈曲変形が伴うことは考えられません。
3) 皮下出血斑:
皮下出血斑は血管が損傷し、血液が皮下組織に漏れ出てできる斑点です。百日咳による激しい咳では、稀に激しい咳により血管が損傷して皮下出血を起こすことがあります。しかし、この症例では患者さんの患部に腫脹がないと記載されており、皮下出血斑の存在には触れられていません。従って、皮下出血斑が伴うことは今回の症状からは特に予測されません。
4) 上肢運動時痛:
正解の選択肢です。患者さんは右側胸部に激痛を自覚し、第7肋骨に限局性圧痛を訴えています。肋骨の痛みは呼吸や身体の動き、特に上肢の動きによって増悪することがよくあります。激しい咳によって肋骨が骨折したり、筋肉が損傷したりすることで上肢の運動、特に胸郭を動かす動作時に痛みが顕著になることが一般的です。したがって、この症例では上肢運動時痛が他に考えられる症状として妥当です。