第30回国家試験 午後109
72歳の女性。歯科医院にて治療中、閉口困難を訴えた。半開口位のままで開閉はわずかに可能である。下顎歯列は上顎歯列の前方に偏位し、頣部も左側にやや偏位していた。
考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 1
1→本症例では、72歳女性が歯科治療中に閉口困難を訴え、半開口位での開閉がわずかに可能である状況が示されています。また、下顎歯列が上顎歯列の前方に偏位しており、頣部も左側に偏位していることが述べられています。
1) 正解は「選択肢1) 右顎関節前方脱臼」です。この症状は右顎関節の前方への脱臼を示唆しています。前方脱臼は、顎関節円板が前方にずれることで顎が動かしにくくなるものです。ここでは下顎が上顎より前方に偏位するため、顎の左側が引っ張られ頣部が左に偏位する ─ この証拠が右顎関節の問題を示しています。
2) 「選択肢2) 左顎関節側方脱臼」は間違いです。側方脱臼は顎が左右いずれかの方向に偏位する現象ですが、この症例では下顎が前方に偏位していると記述されており、側方脱臼の特徴とは一致しません。
3) 「選択肢3) 両側顎関節前方脱臼」も間違いです。両側が前方脱臼している場合、下顎は前方に突き出すが中央に位置します。症例では左側に偏位しているため、両側の脱臼ではないことが示されています。
4) 「選択肢4) 両顎関節後方脱臼」も間違いです。後方脱臼の場合、顎は通常閉じることが困難となりますが、今回の症例では半開口位での開閉がわずかに可能であると述べられており、後方脱臼の症状とは異なります。また、後方脱臼では下顎が後退するので、下顎が前方に偏位する症状とも一致しません。
したがって、これらの症状から考えると、正解は「選択肢1) 右顎関節前方脱臼」です。