第30回国家試験 午後121
20歳の男性。柔道の乱取り中、右足部外返しで踏ん張った際、足関節部の疼痛を自覚し来所した。圧痛部(別冊No.5)を別に示す。足関節を他動的に背屈、外旋させると疼痛が増強した。
考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 前距腓靱帯損傷
前距腓靱帯は足関節の前方に位置し、距骨と腓骨を結ぶ靭帯で、足部の内返し(内反)や過度の背屈時に損傷することが多いです。今回の事例では、足部の外返し(外反)で痛みが起こっており、前距腓靱帯の損傷が原因と考えるには一致しません。
2) 二分靱帯損傷
二分靱帯はかかと骨(踵骨)にあり、プロナシオン(足の内側方向への回旋)や外返し時に損傷する場合があります。この靱帯損傷も足関節外旋時の疼痛を説明するには適合しません。
3) 三角靱帯損傷
三角靭帯は足関節の内側部に位置しており、外返しや外旋、内旋時に損傷する場合があります。ただし、今回の患者さんは外返しで踏ん張った際に症状が発現しているため、三角靱帯の損傷が最も疑われるわけではありません。
4) 前脛腓靱帯損傷
前脛腓靱帯は下腿の前方にあり、脛骨と腓骨を結ぶ靱帯です。足部外返しや外旋時に圧力がかかりやすく、この動きで靱帯に過度のストレスがかかることによって損傷することが多いです。圧痛の位置と増強する痛みのパターンから、本事例での症状は前脛腓靱帯損傷が最も考えられるため、選択肢4が正解です。