第32回国家試験 午後56
20歳の男性。高所作業中に転落し腹部を強打して緊急搬送された。到着時血圧68/48mmHg、脈拍数122拍/分、CTで腹腔内に大量の出血がみられた。考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 心原性ショック
心原性ショックは心臓のポンプ機能の障害によって起きるショックで、急性心筋梗塞や心臓弁膜症、不整脈などが原因で発生します。このケースでは、腹部を強打したことで腹腔内出血が見られており、心原性ショックの典型的な症例ではないため、適切な診断ではありません。
2) 血液分布異常性ショック
血液分布異常性ショックは、全身の血管が広がることによって血液が正常に分布しない状態を指し、敗血症やアナフィラキシー、脊髄損傷などが原因で起こります。このケースでは腹部外傷による出血が原因に挙がっており、血液の分布異常に基づくショックの典型的な症状とは異なります。
3) 閉塞性ショック
閉塞性ショックは、血流が体内のどこかで物理的に閉塞することによって生じるショックです。肺血栓塞栓症や心タンポナーデ、大血管の閉塞などが原因です。このケースでは腹腔内出血が指摘されており、これは閉塞性ショックではなく、出血による循環血液量の減少に関連していると考えられます。
4) 循環血液量減少性ショック
循環血液量減少性ショックは、出血、脱水、熱傷などによる体液の喪失が原因で、循環している血液量が減少して起こるショックです。このケースでは腹部外傷後の腹腔内大量出血が指摘されており、これが循環血液量の減少を招いています。従って、この状況に最も適合する診断は循環血液量減少性ショックであり、選択肢4が正解です。