第32回国家試験 午後67
78歳の女性。自宅で尻もちをついた際に腰痛が生じ、動けなくなったため救急車で病院へ搬入された。腰痛は強かったが、下肢の動きは保たれていた。単純エックス線像(別冊No.2)を別に示す。正しいのはどれか。
正解!
不正解 答え 1
1→1) 脆弱性骨折である。
解説: 高齢の女性が低エネルギーの trauma(尻もちをつく等)により腰痛が生じた事例は、骨粗鬆症関連の脆弱性骨折の疑いが強い。単純エックス線像を見た上での診断では、圧迫骨折など脆弱性骨折を想定するのが妥当である。したがって、この選択肢が正しい。
2) 皮膚症状を合併する。
解説: 腰痛を主訴とする場合に皮膚症状が必ずしも合併するとは限らず、この例ではそうした情報は提示されていない。従って、皮膚症状が合併するという確証はなく、この選択肢は不適切である。
3) 疼痛は軟骨の摩耗による。
解説: 軟骨の摩耗は、一般に関節炎などの長期にわたる進行性疾患で見られる。この事例では、突発的な事故による腰痛が主訴であり、摩耗による疼痛を直ちに指摘する根拠はない。そのため、疼痛が軟骨の摩耗によると断定するのは適切ではない。
4) 手術治療が第一選択である。
解説: 脆弱性骨折や圧迫骨折の初期治療は、必ずしも手術治療が第一選択ではない。保存的治療(安静、骨粗鬆症の治療、疼痛管理等)がまず試みられることが多い。手術治療は症状の強さ、骨折の程度、合併症の有無、全身状態などを考慮した上で選択される。この事例では、手術治療が最良の選択とは限らないため、この選択肢は不適切である。
選択肢1が正解です。