1→胸鎖関節(胸鎖乳突関節)は、鎖骨の内端(胸骨側端)が胸骨の鎖骨切痕と関節をつくる部位です。胸鎖関節の脱臼とは、この関節が正常な位置関係を失うことを指します。
1) 前方脱臼 - これは胸鎖関節脱臼の中では最も一般的なタイプです。外傷などにより、関節が前方にずれることで発生します。 多くの場合、直接的な衝撃や、肩を後ろ方向に強く引っ張られる動作によって起こります。
2) 後方脱臼 - このタイプの脱臼は可能ですが、前方脱臼に比べて発生頻度は低いです。後方に強い力が加わったり、強い衝突が胸部に発生した場合に起きることがあります。しかし、鎖骨の後方には生命に重要な血管や気道が存在するため、後方脱臼は大変危険であり、迅速な治療が必要です。
3) 上方脱臼 - 胸鎖関節が上に向かって脱臼することも理論上は可能ですが、これも前方脱臼に比べて稀です。強い上向きの力や鎖骨に対する圧迫によって引き起こされることがあります。
4) 下方脱臼 - 胸鎖関節は解剖学的に下方に向かっての移動が非常に限られているため、下方脱臼は実質的には起こり得ません。胸鎖関節脱臼で下方脱臼はみられないため、選択肢4が正解です。鎖骨は下方に向かっての大きな動きがないため、この方向に脱臼することは解剖学に反するとされています。