第32回国家試験 午後107
6歳の男児。自転車の練習中に転倒し、右肘関節伸展位で手掌部を付き受傷した。肘関節部に激しい痛みがあり来所した。肘関節部が後方に突出し前腕が短縮してみえる。ヒューター三角に乱れはない。この損傷の後遺症で起こりにくいのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→1) 肘関節屈曲障害
この選択肢は、肘関節に何らかの損傷が起きた場合に生じる可能性があります。特に、捻挫や脱臼などの損傷は、正常な関節運動範囲への影響を及ぼす可能性があるため、屈曲障害が後遺症として挙げられることがよくあります。症例では肘関節の激しい痛みと変形を伴っているため、屈曲障害が生じる可能性は考えられます。
2) 外反肘変形
この選択肢が正解です。外反肘変形は肘が外側へ向いて変形することを指し、一般的には肘関節を中心とした疾患によって引き起こされます。しかし、症例のような転倒時の急性損傷では、外反肘変形が起こりにくいとされています。特に、ヒューター三角の乱れがない場合、肘関節が安定している証拠であり、外反肘変形が後遺症としては起こりにくいです。
3) 阻血性拘縮
阻血性拘縮とは、関節や筋肉への血液供給が遮断されることによって引き起こされる関節の動きの制限を指します。関節周囲の軟部組織損傷や脱臼に際して血管が損傷を受けると、阻血が起こり得るため、阻血性拘縮が後遺症として起こる可能性はあります。
4) 骨化性筋炎
骨化性筋炎は筋肉内に骨が形成される珍しい障害で、通常は慢性的な筋の損傷や冷え等の刺激、または神経損傷によって生じることが多いです。急性の外傷後に骨化性筋炎が発生することは稀であり、症例のように単純な脱臼や捻挫に伴う後遺症としては通常考えられません。しかし、全く起こらないとは言えないため注意が必要です。