第32回国家試験 午後114
37歳の男性。ゴルフ歴10年。右利き。2か月前からグラブを振るとき左手関節尺側に疼痛が出現してきた。最近は左手でペットボトルを開ける際にも痛みが出ると訴えて来所した。手関節の可動域制限は軽度だが、手関節尺屈位で軸圧を加えると疼痛が再現された。考えられないのはどれか。
正解!
不正解 答え 1
1→1) 月状骨軟化症
- 月状骨軟化症(Kienböck病)では、手首の痛みや腫れが典型的な症状ですが、主に中央の手関節で痛みを覚えます。グラブを振るときや物を持つ際に痛みを感じることはありますが、尺側の手関節や特定の動きによる痛みの訴えはあまり一致しません。したがって、症状としては最も考えられにくいです。選択肢1が正解です。
2) 尺骨茎状突起骨折
- 尺骨茎状突起骨折は、直接的な打撃や過度な曲げる力が加わった際に起こることが多く、手首の尺側に痛みや腫脹を感じることがあります。ペットボトルを開ける際やグラブを使う動作の際に尺骨茎状突起にストレスがかかり、痛みを引き起こす可能性はあります。
3) 遠位橈尺関節脱臼
- 遠位橈尺関節脱臼は、手首の尺側に痛みを感じますが、通常は輪状締めや捻り動作によって発生するケースが多く、事故や強い衝撃が原因であることが多いです。ただし、ゴルフのスイングなど手首に反復的ストレスがかかる動作を長年繰り返していた場合、発症のリスクは考えられるかもしれません。
4) 三角線維軟骨損傷
- 三角線維軟骨損傷(TFCC損傷)は、手関節の尺側の痛みが特徴で、捻る動作や手首の圧迫、回旋などによって痛みが増悪することが多いです。ゴルフのスイングによってTFCCにストレスがかかり、痛みが出ることが考えられます。また、ペットボトルを開ける際にも痛みが出るということからTFCC損傷も疑わしい症状です。