第32回国家試験 午後119
39歳の男性。マラソンが趣味である。左大腿の筋肉痛で、図に示す締め付け圧が調整できるサポーターを装着して練習をしていた。強く締めたほうが効果があると感じ、できるだけ強めに締めていたところ、膝内側の疼痛と下腿内側の違和感が生じてきた。考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→1) 滑膜ヒダ障害
滑膜ヒダ(パラトラックスリアタブの構造)の障害は、膝の動きに伴うスナップや痛みなどが特徴ですが、この症状は通常、締め付けによるサポーターの使用とは直接関連がありません。選択肢1はこの場合の主な考慮対象ではありません。
2) 膝蓋軟骨軟化症
膝蓋軟骨軟化症は、膝蓋骨の裏側の軟化や痛みを伴う障害で、階段の上り下り時に痛みが現れることが多いです。しかし、この症状は大腿の筋肉痛やサポーターの圧によって引き起こされるものではないため、選択肢2はこの症例にはあてはまりません。
3) 内側半月損傷
内側半月損傷は膝関節内の半月板が損傷することにより、膝の痛みや腫れ、動きの制限を引き起こすことがあります。半月板損傷は、急な方向転換や回転運動により起こることが多く、膝に締め付けられるような外力によって直接引き起こされることは珍しいです。そのため、選択肢3もこのケースの直接の原因ではないでしょう。
4) ハンター管症候群
ハンター管症候群は、大腿筋膜の緊張や圧迫により、管内の神経・血管・リンパ管が圧迫されることで引き起こされる症候群です。患者がサポーターを強く締めたことにより大腿部の圧迫が生じ、この症状につながった可能性があります。膝内側の疼痛や下腿内側の違和感もハンター管症候群に見られる典型的な症状であるため、選択肢4が正解です。
正解は「選択肢4」です。