第32回国家試験 午後120
17歳の男子。高校でテニス部に所属している。1か月前から体力強化のためにダッシュ、ジャンプ、ターン、ストップを主としたトレーニングを行ったところ、下腿内側に疼痛を自覚した。来所持、脛骨内側後縁に圧痛があり、偏平足がみられた。部活が休みの日には目立った疼痛はないという。考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→1) テニスレッグ
テニスレッグは、カーフの筋肉、特に内側広筋(内転腿筋群の一部)や腓腹筋の断裂や引き伸ばしによる急性の疼痛を指します。通常、テニスをしている最中や急いで走った後に突然発生します。17歳の男子が体力強化のトレーニングにより下腿内側に疼痛を生じた状況はテニスレッグには該当しないため、この選択肢は正答ではありません。
2) シンスプリント
シンスプリントは、走り込みやジャンプなどの過度の運動によって生じる前脛骨筋やその周囲の骨膜の疼痛です。痛みは脛骨の中間部から下部の内側や外側に生じることが多いです。偏平足を示す患者は、下腿にかかる負荷が増加しシンスプリントを発症しやすくなります。このケースでは、脛骨内側後縁に圧痛があり、トレーニングを始めた頃からの疼痛が報告されているため、シンスプリントが最も適しています。選択肢2が正解です。
3) 後脛骨筋炎
後脛骨筋炎は、後脛骨筋やその腱に慢性的な炎症が起こる状態です。主に足のアーチを支える役割を担う筋肉であり、偏平足の人において過度な使用による炎症を起こすことがありますが、今回のケースでは脛骨内側後縁の圧痛に焦点が当てられているため、最も可能性が高いとは考えにくいです。
4) アキレス腱周囲炎
アキレス腱周囲炎は、アキレス腱とその周囲の組織に炎症が起こる状態で、痛みは主にアキレス腱の周囲または腱に感じられます。足首に過度なストレスがかかるスポーツを行った際に発症することがありますが、今回のケースで述べられているような下腿内側の症状とは一致しないため、正答ではありません。