第31回柔道整復師国家試験 午後97

1→答えは「2.ベネット（Bennett）損傷」です。この問題では、骨棘が生じる状態を特定しています。以下、各選択肢の説明とともに、その正しさを評価します。 選択肢1：肩関節不安定症 肩関節不安定症は、肩関節が反復的に脱臼する病態を指します。この状態では、関節周囲の靱帯や腱が損傷し、不安定になることはあるものの、骨棘の形成は主な症状ではありません。 選択肢2：ベネット（Bennett）損傷 ベネット損傷は、親指の根本に位置する母指（親指）CMC（手根中手関節）関節の外傷で、この関節の骨折および脱臼を伴います。この損傷の治療が不十分だと、関節の変形や骨棘の形成が生じることがあります。これが、骨棘が生じる典型的な状態です。 選択肢3：バンカート（Bankart）損傷 バンカート損傷は、肩関節の前方脱臼によって前方下部関節唇が損傷する状態を指します。この症状は、骨棘の形成とは直接的に関連しないため、この選択肢は不適切です。 選択肢4：ヒル・サックス（Hill-Sachs）損傷 ヒル・サックス損傷は、肩の脱臼により大腿骨頭に圧迫骨折が生じることを指し、これも骨棘の形成とは異なります。この症状は、関節の反復脱臼を引き起こす可能性がありますが、骨棘の直接的な原因にはなりません。 以上の解説から、骨棘が生じるのは「2.ベネット（Bennett）損傷」である選択肢が正しいと判断されます。この病態では、不適切な治療や治癒過程での関節の不整合が原因で骨棘が形成されることがあります。