第31回国家試験 午後104
9歳の男児。公園の遊具からジャンプし、着地に失敗して手を衝いて転倒した。自宅に帰ったところ、肘から前腕にかけて腫れてきたので来所した。尺骨骨幹部に著明な圧痛がみられ、肘の屈伸運動は可能であったが、前腕の回内回外はできなかった。
考えられるのはどれか。2つ選べ。
正解!
不正解 答え 1・4
1→選択肢1:橈骨頭脱臼
橈骨頭脱臼は、特に小児において転倒時に手をつくことで起こり得る損傷です。脱臼により、前腕の回内回外運動が制限されるため、この症状が現れた場合には考慮する必要があります。この症状が橈骨頭脱臼を示唆しているため、選択肢1は正しいです。
選択肢2:橈骨骨幹部骨折
橈骨骨幹部骨折も転倒により手をついた際に発生する可能性がありますが、症状の記述には橈骨骨幹部の圧痛や腫れが明記されていないため、この選択肢は症例の説明からは支持されません。
選択肢3:尺骨頭脱臼
尺骨頭脱臼は、肘の近くでの脱臼が主であり、特に前腕の回内回外運動に影響を与えますが、症例記述では尺骨の骨幹部に著明な圧痛があると記されています。これは尺骨頭脱臼よりも骨折を示唆しているため、この選択肢は正しいとは言えません。
選択肢4:尺骨骨幹部骨折
尺骨骨幹部骨折は、症例で記述されているように、尺骨の骨幹部に圧痛がある場合に考慮されるべきです。また、前腕の回内回外運動ができなかったことから、肘関節の機能に影響が出ている可能性があり、この選択肢は状況に適合します。
以上の分析から、正しい答えは「1」と「4」であり、橈骨頭脱臼と尺骨骨幹部骨折がこの小児の症状と病態を説明する適切な診断です。