第31回国家試験 午後105
21歳の男性。柔道の乱取り中、背負い投げをかけられた際に左手を強く衝いた。稽古後、手関節部に圧痛を自覚したため来所した。医科での単純エックス線写真を別に示す。 誤っているのはどれか。
正解!
不正解 答え 3
1→選択肢1:長期間の固定が必要である
スキャフォイド骨は手首の中で血流が比較的少ない部分に位置しているため、骨折後の治癒が遅いことがあります。適切な固定が行われない場合、骨が正しく癒合せず、非連合(骨折が固まらない状態)を引き起こすリスクがあります。したがって、スキャフォイド骨骨折には通常、長期間にわたる固定が必要であり、この選択肢は正しいです。
選択肢2:近位部が骨壊死になりやすい
スキャフォイド骨の骨折は特にその近位部で起こると、血供給が限られているために骨壊死を起こしやすくなります。骨壊死は骨組織が死んでしまう状態を指し、これが発生すると治癒が非常に困難になる場合があります。この選択肢も正確な記述です。
選択肢3:手関節橈屈位で患部を触知しやすい
この選択肢は誤りです。スキャフォイド骨を触診する際は、手関節を背屈させることによってスキャフォイド骨が隆起し、触診が容易になります。手関節を橈屈位にすると、スキャフォイド骨は他の骨に隠れてしまい、触診が難しくなります。
選択肢4:長母指伸筋腱と短母指伸筋腱に囲まれた部位に圧痛がある
この選択肢は正しいです。スキャフォイド骨骨折の典型的な徴候は、スナッフボックスと呼ばれる、長母指伸筋腱と短母指伸筋腱に囲まれた部位に圧痛を感じることです。この圧痛は骨折の重要な診断指標となります。
以上のように、選択肢3が唯一の誤りであることが解説から明らかです。