第31回国家試験 午後106
25歳の男性。草野球でボールを打った瞬間から手のひらに強い痛みを自覚し、その後バットが握れなくなったため翌日来所した。図の部位に強い圧痛と腫脹があり、握り動作によって痛みが増強した。 考えられるのはどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→「4.有鈎骨鈎骨折」となります。以下、その解説を示します。
選択肢1:有頭骨骨折
有頭骨骨折は手のひらの一番外側にある骨の骨折ですが、本症例のようにバットを握る動作に特化した痛みや腫脹を引き起こすことは一般的ではありません。このような症状は、有頭骨骨折ではなく、より特定の位置での圧迫や痛みに関連する骨折が疑われます。
選択肢2:月状骨骨折
月状骨骨折も手首の骨の一つで、これが骨折すると手の動きに広範囲の影響が出ますが、本症例のような特定の痛みの症状やバットを握れなくなる症状は、月状骨の位置や機能から考えると直接的な原因とは少し異なる可能性が高いです。
選択肢3:三角線維軟骨複合体損傷
三角線維軟骨複合体損傷は、手首の安定性に大きく寄与する部位の損傷ですが、強い打撲による骨折の症状とは異なり、より慢性的な痛みや不安定感に関連します。急激な打撃で直ちにバットが握れなくなるという症状は、この損傷よりは骨折による影響が考えられます。
選択肢4:有鈎骨鈎骨折
有鈎骨鈎骨折は、手のひらの小指側に位置する有鈎骨の鈎の部分が骨折することで、握力に大きな影響を与え、痛みや腫脹を引き起こします。この骨折は、手を使った活動中に特に圧力がかかることで生じるため、バットを握った際の痛みやその後の握力低下に直接関連し、症例の症状に合致します。
このように、症例の症状と最も一致するのは選択肢4の「有鈎骨鈎骨折」であり、そのためこれが正答となります。この骨折は、特定の手の位置への圧力や打撲により引き起こされるため、スポーツ中の手の使用において注意が必要です。