第31回国家試験 午後112
24歳の男性。ラグビーでタックルした際に、右手環指が相手のジャージに引っかかり受傷した。痛みが強くなかったためプレーを続行したが、終了後に指の違和感が強くなり来所した。来所時、PIPおよびDIP関節の自動的伸展は可能だが、DIP関節の自動的屈曲ができなかった。関節部に腫脹はみられなかった。
考えられる損傷部位はどれか。
正解!
不正解 答え 4
1→選択肢1:正中索
正中索の損傷は通常、手の平側の指の機能に影響を与え、特に指の感覚に問題を引き起こしますが、DIP関節の自動的屈曲の不能とは直接的な関連はありません。この選択肢はこの症例には適用されません。
選択肢2:終止腱
終止腱は指の伸展に関与しており、特にDIP関節の伸展に影響を与えるため、この患者の症状(DIP関節の自動的屈曲ができない)とは一致しません。終止腱の損傷は、通常、DIP関節の伸展不能を引き起こします。
選択肢3:掌側板
掌側板の損傷は、関節の安定性の問題や痛みを引き起こし得ますが、DIP関節の自動的屈曲の不能とは直接的な関連はありません。この選択肢もこの症例には適用されません。
選択肢4:深指屈筋腱
深指屈筋腱は指の屈曲、特にDIP関節の屈曲に直接関与しています。この患者がDIP関節の自動的屈曲ができないという症状は、深指屈筋腱の損傷を示唆しており、選択肢4はこの症例において最も適切な答えです。深指屈筋腱の損傷は、特定の運動の際に発生しやすく、このケースではラグビーでのタックル中に指が引っかかった際に生じた可能性が高いです。
以上の分析に基づき、この問題の正しい答えは「4」であり、深指屈筋腱の損傷がDIP関節の自動的屈曲不能という症状の原因であると考えられます。