1→ネフローゼ症候群は、腎臓の病態であるため、直接的には呼吸器系に関連する臨床徴候を示さないため、次のような解説が適切です。
1) 呼気が延長する。 - 選択肢1が正解です。ネフローゼ症候群では、呼吸に関する直接的な症状は起こりにくいので、呼気が延長するという現象は通常は見られません。延長された呼気は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の所見として考えられます。
2) 漏斗胸を呈する。 - ネフローゼ症候群患者が漏斗胸を呈することは一般には関連がないですが、重篤なむくみ(浮腫)が見られることで胸郭の形状変化が観察される場合があり得るため、関連を完全に否定することはできません。
3) 肺肝境界が上昇する。 - ネフローゼ症候群においては、腹部のむくみにより肝臓が拡大することがあるため、この結果肺肝境界が上昇する場合があります。
4) 肺野の打診で濁音を呈する。 - 肺野で濁音が聞こえるのは、通常、肺水腫や胸水が存在する場合などに限られます。ネフローゼ症候群の患者は低アルブミン血症により、漏出性胸水を生じやすくですので、肺野の打診で濁音を呈することがあります。
以上の解説から、ネフローゼ症候群の所見として最も誤りであるのは、「呼気が延長する」という選択肢1です。