第30回柔道整復師国家試験 午後56

1→1) 心原性ショック 心原性ショックは心臓のポンプ機能の障害によって起こるショック状態です。例えば心筋梗塞や心タンポナーデなどが原因で発生することがありますが、このケースではバイク事故による外傷が原因であるため、心原性ショックを考えるには具体的な根拠が不足しています。 2) アナフィラキシーショック アナフィラキシーショックは、アレルゲンに対する過敏反応が引き起こす重篤なアレルギー反応です。蜂刺されや特定の食物、薬物によって発生することが一般的です。この患者にはアレルギーを惹起する明らかな原因が示されておらず、アナフィラキシーショックであると断定する情報は不足しています。 3) 敗血症性ショック 敗血症性ショックは、全身に広がる重度の感染症が原因で起こるショック状態です。敗血症は菌血症が引き起こす重い全身反応であり、免疫応答の結果、血管の拡張や毛細血管の透過性増加などが起こります。しかしながら、この症例では感染の徴候や発熱、長期にわたる病態に関する情報がありませんので、他の状況情報なしに敗血症性ショックを主張するには十分ではありません。 4) 出血性ショック 出血性ショックは体外あるいは体内において大量出血が原因で生じる低血容量性ショックです。このケースでは、バイク事故による腹部打撲に続いて、冷汗や顔面蒼白、低血圧（収縮期血圧60mmHg）および高脈拍（126/分）が観察されており、これらは大量の内出血による循環血液量の低下を示唆しています。下腿浮腫がないことも体液が第三の空間に移動していることを否定し、外傷による出血が最も考えられる原因です。したがって、選択肢4が正解です。